1987年8月22日。その日、小学生だった僕は異国の地での初登校の前々日だったはずで、人生の中でも大きな出来事を目前に迎えていた。その時の心境は全く覚えてないが、新たな学校生活を迎え、期待に胸を躍らせていただろうか。それとも不安に押し潰されそうになっていただろうか。
そんな日、遠く離れた日本の熊本で、日本の音楽史に残るロックフェスティバルが行われいたことを知ったのは、去年の秋。それがBEATCHILD1987。ラジオから流れてきた映画のコマーシャルがキッカケだった。
約12時間にわたって開催された野外フェス。これが2時間強のライブドキュメンタリーとなっているのだが、行く前は楽曲には期待はしつつも、映像としてはあまり期待していなかった。当時の撮影技術は今ほどではなかっただろうし、今まで映像作品化されていなかったということは、作品化を前提として撮影していないだろうと思ったからである。
いい意味で期待は裏切られた。これほどまでの映像が、何故いままで映像作品化されていなかったのだろうと不思議に思うぐらい、質量ともに現代のそれと遜色ない。出てるミュージシャンの顔が若すぎることを除けば、去年の夏フェスの映像だと言っても分からないぐらいの映像だ。
もちろん伝説的なフェスということで出てるミュージシャンのセットリストも、当時のベスト的なもの。THE BLUE HEARTSが「リンダリンダ」をやれば、HOUND DOGは「フォルティシモ」をやる。更に、BO0WYの「ONLY YOU」、尾崎豊の「シェリー」、渡辺美里の「My Revolution」そして、映画の最後は佐野元春の「SOMEDAY」。25年後の今でも歌い継がれている名曲たちが、25年前の熊本の夜に響き渡っていたのだ。
このフェスが伝説となっているのは、日本初の大型ロックフェスということはもちろんだが、その天候にも大きな要因があるだろう。何しろ、土砂降りだったのだから。フジロックの1回目、B'zの渚園ライブ、そして家族フェスの1回目。語り継がれる野外コンサートは決まって土砂降りなのである。
これは絶対にDVD化して欲しい。もちろんノーカット版で。多少高くても買う人は買うと思う。
なお、劇場で購入できるパンフレットには、映画に収録されている全ミュージシャン(出演ミュージシャン12組中10組)の全セットリストと詳細なタイムテーブルが記載されている。これを観るだけでも当日の臨場感が伝わってくるので、必見だ。
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