2014年1月4日土曜日

ブックレビュー 岩作剛「blue」

 以前に「自費出版」で紹介した、旧友が書いた小説。小6からの付き合いで、僕自身、この時に大きな引越しを経験し、それまでの交友関係が完全にリセットされたので、家族親戚を除けば、僕にとって最も古くからの付き合いのある友人でもあるのだが、その岩作氏(ちなみにこれはペンネーム)の処女作がこれである。自費出版だけど。

 印象としては、良くも悪くも普通の刑事もの。このまま脚本化され、2時間ドラマになっても、さすがにゴールデンでは厳しいかもしれないが、昼の時間帯とかBSでの放送なら、充分いけそうな感じ。

 構成としては、章の中の節ごとに主人公が入れ替わり、最初は全然異なる二つの物語が、徐々に重なり合うようになり、最終的に一つの物語に繋がっていく形で、僕はあまり小説を読まないのでよく分からないが、これがイマドキの描き方なのだろうか。確か「1Q84」もこんな構成だった。飽きさせない描き方だとは思う。

 内容としては、普通の女子高生が軽い気持ちで参加したクラブのパーティをキッカケに麻薬の犯罪に巻き込まれるという、岩作氏が中学生だった頃に大好きだった刑事もののストーリーを地で行くようなもの。ただ、捜査途中にこの女子高生が何気なく語った言葉によって、刑事が、一人の刑事として一皮剥けるシーンがあり、ただの刑事ものではなく、ある意味ヒューマンドラマ的な要素も含まれているのは面白い。

 また、捜査における描写がとてもリアルなのもの印象的。アマチュア作家のため、まともな取材をしているはずはないので、在り物の本・テレビ等を参考にしたのか、それとも完全に空想の世界で描写してて実際はホンモノとはかけ離れているのか、どちらなのか分からないが、いつか会って本人に訊いてみたい。

 ということで、一介のサラリーマンが、趣味の範囲で書いたにしてはかなりの出来のこの作品。もしかしたら、いつの日か、遅咲き作家のアマチュア時代の隠れた名作として話題になるかも知れないので、興味のある人は手にとってみてはいかがだろうか。自費出版ではあるが、Amazonで購入可能である。

blue
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2013-12-01

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