2020年12月1日火曜日

組織の力で黄金時代を迎えているソフトバンク

  各チームには、ファンから「黄金時代」と呼ばれる時期がある。ただ、球史において、真の黄金時代と言えるのは、V9時代の巨人と、80年代後半から90年代前半にかけての西武だけだと思っている。

 70年代後半の阪急は日本シリーズ3連覇を達成したが、強い時代は長くは続かなかった。同時期の広島も同様。90年代のヤクルトは10年間で4度も日本一に輝いたが、1位と4位を繰り返したことからも分かるようにその強さは安定していなかったし、2000年代の中日は、毎年優勝争いを演じ何度も優勝したが、日本一には1回しかなれなかった。

 そんな「真の黄金時代」という称号があるとして、いま、その域に達しようとしているのがソフトバンクだろう。2014年以降、7年で6度の日本一。優勝は4回だが、圧倒的な強さと言える。

 個人的に、その強さの質が前述の巨人、西武と決定的に違うと感じている。

 V9時代の巨人はリアルタイムでは見ていないが、記録を見る限りONを軸としたチームであり、この両雄の力が衰えるとともにチームの力も衰えていった。西武は、圧倒的なクリーンナップのAKD、チームリーダーの石毛、守備の名手の辻、扇の要の伊東と、レギュラーが高いレベルで固定されていたが、この不動のレギュラーが衰えたりFAで流出することにより、チーム力も落ちていった。

 つまり、前述の2チームは、固定された主力選手の圧倒的な個の力の集合体により、黄金時代を迎えていたと思うのだが、今のソフトバンクは違う。主力がどんどん入れ替わるのに、全くチーム力が落ちずに、圧倒的な強さを保っている。これは、高い育成力があるということだろう。実際、今年は内川が昇格できず、今宮はケガでシーズンの大部分を欠場することになったが、代わりに栗原が大ブレイクし、周東がレギュラーを勝ち取った。

 育成の力を含めた、組織の力で黄金時代を迎えているソフトバンクは、これまでのどの強豪チームよりも手ごわい。このチームを負かすためには、各チームともチーム作りを根本から見直す必要がありそうだ。

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