2018年5月5日土曜日

ビッグデータ・ベースボール

 「ビッグデータ・ベースボール」という本が面白い。これは、文字通り、野球の戦術にビッグデータを取り入れ、2013年に低迷していたピッツバーグ・パイレーツをポストシーズン進出に導いた話をドキュメント調に書き上げたものである。

 ビッグデータの内容は様々だが、大きくは、2点。1点目は各打者の打球方向を分析することによる大胆な守備シフト。2点目はキャッチャーの捕球技術であるフレーミングに着目した選手補強。守備シフトについては、古くはMLBではテッド・ウィリアムズ・シフトがあったとされているし、日本でも王シフトが有名ではあることからして、特別目新しい戦術でもないが、これを徹底的に敷いたのが2013年のパイレーツ。また、フレーミングは際どいボールをストライクに見せる捕手の技術であり、それまでは全く注目されることは無かったし、日本では今でもほとんど話題に出ることは無い。ちなみに、この技術の高さを評価され2013年シーズンにパイレーツに移籍したラッセル・マーティンは、今やMLBを代表する捕手になっている。

 思い返せば、2000年代には「マネー・ボール」とともにセイバーメトリクスの考えが入ってきて、2010年代はビッグデータ・ベースボール。そして、その徹底的な守備シフトを無効化するためのフライボール革命と、MLBの戦術にはどんどん新しい考え方が導入されてきているように思える。ところが、日本のプロ野球は、申告敬遠とかリクエスト制度といった、しょうもないルールだけはMLBの真似をしているが、肝心のチーム強化に向けた戦術面についてはちっとも追い付いていないように見える。別に戦術までMLBの真似をする必要は無いのかもしれないが、真似しないなら独自の路線でどんどん進化していくべきだと思うが、それも見えない。

 もっと、チーム力強化に向けたビジョンを見たい。

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