今年も絶対的ストッパーとして42Sをあげ、最優秀救援投手に輝いた岩瀬投手。しかし今シーズンの終盤は不安定なピッチングを見せることもあり、9回1イニングを任されるのではなく、途中まで浅尾がしめて、9回途中からの登板というケースも多くなってきた。
極めつけが日本シリーズ第4戦。延長11回に勝ち越したドラゴンズは当然岩瀬を出してくるだろうと思ったのだが、高橋聡が続投。そのまま高橋聡でいくのかと思ったら、ツーアウトを取ったところで岩瀬にスイッチした。何とも不可解な継投。岩瀬への信頼が揺らいでいるのか。それでもプライドがあるので、最後は岩瀬に任せざるを得ないのか。この状態が続くと、岩瀬の存在が悪い意味で重くなってきて、チームワークに悪影響が出かねない。
考えてみれば、絶対的なストッパーって衰えてきた時の処遇が難しい。近年の完全分業制が確立された1990年以降の最優秀救援投手をリストアップしてみて、どのようにしてストッパーの座から退いた検証してみたい。
()内はタイトル獲得年度。
・与田(1990)
1991年に故障により森田に譲るも、翌年ストッパーに復帰。しかし、1993年以降は故障に悩まされる。
・鹿取(1990)
1994年より潮崎、杉山、新谷などの台頭により、中継ぎに回る。
・大野(1991)
1995年に先発再転向。
・武田(1991)
1992年に先発転向。
・佐々木(1992,1995~1998)
2000年より、FAでメジャー移籍。
・赤堀(1992~1994,1996~1997)
1998年に、故障により大塚に譲る。以降、先発転向するも故障に悩まされる。
・石毛(1993)
1996年に、不振によりマリオに譲る。以降、復調することなく、1996年オフに近鉄へ移籍。
・高津(1994,1999,2001,2003)
2004年より、FAでメジャー移籍。
・平井(1995)
1996年に、故障により鈴木平に譲る。以降先発転向したのち、2002年オフに中日へトレード移籍。現在は中継ぎとして活躍。
・成本(1996)
1997年に、故障により河本に譲る。以降、目立った活躍をすることなく、2000年オフに阪神へ移籍。
・大塚(1998)
1999年に故障によりバルデスに譲るも、翌年復帰し、以降ストッパーとして活躍。2004年より、ポスティングでメジャー移籍。
・ウォーレン(1999)
2000年オフに、成績不振により退団。
・ギャラード(2000,2002)
2003年シーズン途中に、ケガから復帰する際の起用法で首脳陣と折り合いがつかず、横浜へ移籍。翌年、故障によりメジャーから復帰した佐々木に譲る。
・ペドラザ(2000~2001)
2002年オフに不振により退団。翌年は巨人でプレーするも故障のためストッパーの座には就けず。
・豊田(2002~2003)
2006年に巨人へFA移籍。巨人では不振に陥り、高橋尚に譲る。以降、中継ぎとして活躍。
・五十嵐亮(2004)
2005年に、不振により石井弘に譲る。以降、復調し中継ぎとして活躍。2010年よりFAでメジャー移籍。
・三瀬(2004)
2005年途中に、不振により馬原に譲る。以降、復調し中継ぎとして活躍し、2010年シーズン途中に中日へトレード移籍。
・横山(2004)
2006年に、不振によりMICHEALに譲る。同年オフに横浜へ移籍し、中継ぎとして活躍。
・岩瀬(2005~2006,2009~2010)
現在もチームのストッパーとして活躍中。
・小林雅(2005)
2008年よりFAでメジャー移籍。
・MICHEAL(2006)
2009年に巨人へのトレードでチームを離れる。巨人ではクルーンが居たため、ストッパーの座には就けず。
・藤川(2007)
現在もチームのストッパーとして活躍中。
・馬原(2007)
現在もチームのストッパーとして活躍中。
・クルーン(2008)
現在もチームのストッパーとして活躍中。
・加藤大(2008)
2010年に、不振により岸田に譲る。
・武田久(2009)
現在もチームのストッパーとして活躍中。
・シコースキー(2010)
現在もチームのストッパーとして活躍中。
こうしてリストアップしてみると、一部のメジャー移籍組以外は、ほとんどが不振か故障によりストッパーの座を奪われ、そのまま目立った活躍をすることもないまま、現役を退いている。一方で少数ではあるが、ストッパーの座を退いた後も、先発や中継ぎで活躍している選手もいる。岩瀬はどのようにしてストッパーの座からの幕引きをするのだろうか。もちろん、来年以降も絶大なる信頼のもと、守護神ぶりを発揮してもらうのが、一番いいことなのは言うまでも無い。